車いすにおける褥瘡予防
今回知っておいてもらいたい内容としては、大きく2つ。
移乗の後の臀部の状態と、現場でできる姿勢の調整についてです。
皆さんは患者さんを移乗させた後、何か意識されることはありますか?
移乗動作において見落としやすいポイントの一つに“圧抜き”があります。
いくら良いトランスファーをして座ることができたとしても、
身体が不自由な方には、移乗後のその姿勢がきつい姿勢なのかもしれません。
健常な方にも体験してもらえることですが、坐骨結節(お尻の下の出っ張っている骨)に手を当てて、
体をかがませた状態で座らせた後、身体を起こすと臀部にずれを感じるかと思います。
この状態は、皮膚と骨との間に強い引きちぎれるような力が働いている状態となります。
(ぼくの場合は3分で、体動がしたくなりました。)
長時間に渡れば、血流障害に拍車をかけることとなります。
発赤程度であった患部が、褥瘡に発展する可能性もあるということです。
そこで、ちょっとした“圧抜き”をすることで、褥瘡の進行が抑えられる可能性があります。今回は2つやり方をお伝えします。
一つ目は、利用者さんに腕を組んでもらい、左右に揺さぶるやり方です。お尻にかかった体重を抜くようにして、倒れるように誘導します。
この時の注意としては、引っ張り上げないことです。
2つ目は、直接、臀部に手をもぐして、圧を抜く方法です。上体を傾けるようにして、圧を抜きます。
この適応者としては、認知症で、口頭指示が入りにくい人や、
先程お伝えした、上体を持ち上げると、痛みを訴えられる方に有効かと思われます。
手をもぐしにくい、ズボンが濡れているといった触りにくい場合、ビニールの手袋を装着してもよいかと思われます。